とにかくさけんでにげるんだ―わるい人から身をまもる本


とにかくさけんでにげるんだ―わるい人から身をまもる本
ベティー ボガホールド



子どもが性的虐待や誘拐といった暴力・犯罪から身を守るための知恵を説いた絵本。児童虐待をテーマとした『あなたはちっともわるくない』の著者安藤由紀が翻訳し、絵本作家河原まり子がイラストを描いている。深刻なテーマながら、透明水彩のやさしい色合いが、子どもへの温かなまなざしを感じさせるものとなっている。

カナダの小学校で副読本として使用されていたというこの絵本は、子ども自身が自分を守る力を身につけることを目的としている。紹介されるのは、迷子になったときや知らない人に声をかけられたとき、あるいは不審な人に体を触られたときに「誰に助けを求めるか」「どこへ逃げるか」といった具体的な対処法。デパートや公園、マンションなど子どもの日常生活における6つの場面を想定してあるため、実践的でわかりやすいのが特徴だ。

また、トラブルに直面した場合の子どもへの接し方や心構えなど、親への有効なアドバイスとなっている点も心強い。とくに巻末の「性被害のサイン」や「性被害を受けてしまったとき」はぜひ読んでおきたい資料だ。なかなか家庭では取りあげにくい話題であるだけに、親子で共に考えるきっかけづくりとして活用したい。(中島正敏)
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エルマーいろいろ―ぞうのエルマー


エルマーいろいろ―ぞうのエルマー
David McKee



パッチワークのようにカラフルな体を持つ人気者のゾウ、エルマーが活躍する「ぞうのエルマー」シリーズのボードブック。堅い厚紙でできていて破れにくく、角も丸くカットしてあるから小さな子どもが思い切りめくっても安心だ。

「きみ なにいろが すき?/エルマーは ぜんぶ だいすき」。くろ、むらさき、あお、みどり、きいろ、オレンジ、あか、ピンク、しろ。最初のページをめくると、あざやかなストライプがいっぱいに広がっている。そして、しろは雪だるま、むらさきはマフラー、あおは空でみどりは草、ピンクはいちごアイス、とユーモアを交えながら10種類の色が紹介されていく。はっきりとした色使いで、子どもが色の名前をおぼえるのにも最適。

どの色も美しいが、なかでも印象的なのは夕焼けの色、あか。微妙な濃淡の夕焼け空、まっすぐな地平線にシルエットで浮かび上がる木や丘、うっすらと赤く染まる大地。「ほら きれいでしょ」とエルマーも自信たっぷりにほほえんでいる。(門倉紫麻)
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パンプキン・ムーンシャイン


パンプキン・ムーンシャイン
ターシャ テューダー



小さな女の子シルヴィー・アンは、ハロウィーンの「かぼちゃちょうちん」を作るために、畑で一番立派なかぼちゃを探しに行く。しかし、小さなシルヴィー・アンには、大きなかぼちゃは重すぎる。ゆきだるまを作る要領で、転がして運ぼうとするが、かぼちゃは山羊や鶏を脅かしながら、坂道をころころと転がっていってしまう。

アメリカを代表する絵本作家の1人、ターシャ・テューダーのデビュー作(1938年)。農村の生活の1コマをユーモラスに描いた作品である。ターシャは19世紀の農村のシンプルな生活様式を愛し、自然や動物達と共に、彼女の絵本に描かれるような生活を送っている。

復刻版として出版された本著だが、黄色がかった紙を用いる、ページの隅を丸くカットする、などといった、ターシャの絵が持つ温かな雰囲気を壊さぬための気配りがうれしい。また、明朝で印刷された文字が、昔、図書館で手にした絵本を思い出させるような、懐かしい空気を放つ。(田村恵美)
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はっぴぃさん


はっぴぃさん
荒井 良二



『なぞなぞのたび』で1999年ボローニャ児童図書展賞、『森の絵本』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞するなど多くの受賞歴をもち、広告や舞台美術などでも活躍する作者による1冊。

はやい あさです。ぼくは はっぴぃさんに あいにいきます。
でも はっぴぃさんには まだ あったことがありません。
はっぴぃさんは、山の上の大きな石の上に時々来て、困ったことや願いごとを聞いてくれるのだという。そしてまた、もうひとりの少女も、はっぴぃさんに会いに出かけていく。

どこかの国の民族衣装を身につけた少年と少女。瓦礫(がれき)が落ち、戦車が行き交う街を抜けて、2人が山で願うことはとても可愛らしいものだ。のろのろの少年は、のろのろじゃなくなるように。あわてんぼうの少女は、あわてなくなるように。

豊かな色彩と手書きの文字が暖かい印象を残し、欠点は見方を変えれば長所になるということを教えてくれる本書は、子どもだけでなく大人の心もほんわりとさせてくれる絵本である。(小山由絵)
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リサとガスパールのたいくつないちにち


リサとガスパールのたいくつないちにち
アン・グットマン



ガスパールとリサはとっても仲良し。ある雨降りの午後、おばあちゃんの家で、何もすることがなくて退屈していた。ケーキを焼こうとしたふたりは、台所を散らかして、おばあちゃんに注意されてしまう。そこで食堂でテニスを始めたのだけど、パパは渋い顔。寝室をお化け屋敷にしてみたら、今度はママが気に入らないみたい。とうとうガスパールとリサはパズルで遊ぶことにした。おばあちゃんの、ウサギとキジのポスターを、細かく切って元どおりに並べても、おばあちゃんは気にしないと良いのだけど…。(Book Description)
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とりかえっこ


とりかえっこ




「あそびに いってくるよ ぴよ」。あたたかな日ざしにさそわれて、あそびに出かけた森のひよこ。ばったり出会ったねずみさんと、大事なものを "とりかえっこ" する。ひよこなのに、ひよこじゃない? ねずみなのにねずみじゃない! おもしろくなって、ひよこはぶたさんとも、かえるさんとも "とりかえっこ"。それを見て、ぶたさんやかえるさんの家族はびっくり仰天、でも "とりかえっこ" したおかげで、ひよこは危ないところを救われる。

ささやかだけど、とっても愉快なひよこの冒険ものがたり。淡く、深い色づかいと、やわらかな筆はこびで読み手をしあわせな森の世界へといざなう絵は、ニ俣英五郎の作。ページのすみっこに、ひっそりと咲く野草、木々のこずえから顔をのぞかせる虫たち。ディテールまで丁寧に描きこまれた絵に、さとうわきこの短い文が映える。たっぷりあそんで、まんぞくげに帰ってきたひよこのひとことに、目をまるくするおかあさんの表情は必見。全国学校図書館協議会「よい絵本」選定図書、第1回絵本にっぽん賞受賞。子ども(小学校低学年)から大人まで繰り返し楽しめる1冊。絵のふちに隠された、めくり絵にも注目!(嶋田あひる)
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ゆかいなかえる


ゆかいなかえる




みずのなかに ぜりーのような たまごが。たまごのなかには くろいてんてん。
さかなが やってきて ぱくっと たべた。でも 4つのたまごだけ ながれていった。

そうして生き残ったタマゴから孵(かえ)った4匹のおたまじゃくしが、4匹のカエルになって、冬眠するまでの1年間を描いた1冊。1961年にアメリカで、1964年に日本で出版され、以後ロングセラーを続ける名作絵本である。

描かれるカエルの毎日はゆかいだ。もぐったり、泳いだり、遊んだり。時々、サギやカメに襲われそうにもなるけれど、すぐに隠れてやりすごす。しかも、そこに恐怖感はなく、あくまで遊びのひとつのよう。夏中、カエルは歌って遊び、冬になれば暖かい土の中で眠るのだ。

「生き物たちの動くフォームが、何よりの絵の教師だ」という作者の手によって描かれるカエルたちは躍動感にあふれ、あらんかぎりの生を謳歌している。青と緑だけで彩られたこの美しい絵本は、子どもだけでなく大人の心をもとらえる魅力にあふれた、ゆかいな1冊である。(小山由絵)
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くまさん くまさん なにみてるの?


くまさん くまさん なにみてるの?
ビル マーチン



耳に心地よいことばのリズム、鮮やかな色づかいのコラージュによるイラスト…。名作絵本『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』(邦題『くまさん くまさん なにみてるの?』)は、大勢の子どもたちを魅了してきた。本書の特徴は、ページをめくるたびに登場する新しい動物が、次に出てくる動物をさりげなく教えてくれることだ。

「うまさん、うまさん、あおいうまさん、なにみてるの? みどりいろのかえるをみてるの」
このパターンが何度も繰り返されるため、まだ本が読めない小さな子どもでも、そのうちお母さんと一緒に声を合わせるようになる。そのうえ、次に出てくる動物を簡単に当てることもできるのだ。だが、おはなしの最後では、次に出てくるもののヒントはなし。「見てのおたのしみ」となっている。

華やかでふんだんなイラストを目で確認しながら、響きのよい文章の繰り返しが楽しめる本書は、子どもたちに読書の楽しさを教えてくれる最高の絵本だ。エリック・カールは、『The Very Hungry Caterpillar』(邦題『はらぺこあおむし』)、『The Grouchy Ladybug』(邦題『ごきげんななめのてんとうむし』)、『Have You Seen My Cat?』(邦題『ぼくのねこ みなかった?』)でも有名な絵本作家。あふれんばかりの色彩と陽気なスタイルによる大胆なイラストを得意とする彼は、絵本界でもぬきんでた存在として一目置かれている。
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1、2、3どうぶつえんへ―かずのほん


1、2、3どうぶつえんへ―かずのほん
エリック カール



「子どもは楽しみながら学習する」という信念のもとに描かれた数の絵本。『はらぺこあおむし』で知られるエリック・カールが絵本の制作に専念することになった最初の作品で、ボローニア国際児童図書展グラフィック大賞を受賞。鮮やかでカラフルな貼り絵によるイラストは、世界中の子どもたちに愛されている。

ページごとに増えていくのは、汽車がひっぱる貨車。最初の貨車には1頭のゾウ。次の貨車には2頭のカバ。3頭のキリン、4頭のライオン、5頭のクマ。6頭のワニに、7頭のオットセイ、8匹のサル、9匹のヘビ、そして10羽の鳥。汽車がたどりついた先は、みんなが大好き動物園。

この絵本に文字はなく、あるのは数字と動物の絵のみ。『ね、ぼくのともだちになって!』をほうふつとさせるネズミを探してみるのもまた楽しい。ボードブックなので、小さな子どもが乱暴に扱っても大丈夫だ。これから数を知る1歳から2歳の子どもが自然と数字を覚えることのできる1冊である。(小山由絵)
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おこりんぼママ


おこりんぼママ
ユッタ バウアー



なんともショッキングなページからはじまる1冊だ。ママに怒鳴られたペンギンのぼくが、バラバラになってとんでいっちゃうのである。あたまはうちゅうに、おなかはうみに、つばさはジャングル…そして足だけになってしまう。しかし、途方にくれるぼくのかけらを拾い集めて縫い合わせてくれるのも、またママなのだ。

ついイライラして子どもを怒鳴ってしまった時こそ、子どもと一緒にこの絵本を手にとってほしい。お母さんの「ごめんね」に、我が子もペンギンのぼくと同じように「やっぱり、ママがいちばんさ」と腕の中に飛び込んできてくれるだろう。

そして読み終えたとき、もう一度、中の表紙を見てほしい。そこには、目をつぶってしっかりと抱き合うペンギンの親子が描かれているはずだ。ドイツ人作家ユッター・バウアーの描く線は、あくまでも優しい。対象は幼児からとなっているものの、お母さんのための1冊でもあり、まさに「母と子の心がひとつになる絵本」である。(小山由絵)
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