どうすればいいのかな?


どうすればいいのかな?




欧米各国語に翻訳され、ビギナーズブックとして高い評価をうけている「くまくんシリーズ」の1冊。ほかに『おとうさんあそぼう』 『おふろだ、おふろだ!』などがある。子どもたちにとって身近な日常生活を描いたシリーズで、『どうすればいいのかな?』では、くまくんが自分で洋服を着ようと奮闘する姿が描かれる。

シャツをはいたらどうなる? パンツを着たら? 帽子をはいたら? 靴をかぶったら? シャツをはいて困ったくまくん。どうすればいいのかな? ページをめくるとあらわれるのは、シャツを着た笑顔のくまくん。そうそう、シャツは着るもの。パンツははくもの、帽子はかぶるもの、靴ははくもの。

余白の多いシンプルな構図と柔らかな線。じょうずにシャツを着て、パンツをはいたくまくんのうれしくてちょっと得意げな笑顔は我が子のそれと同じである。小さな子どもにとって、自分で洋服を着ることは本当に大仕事。それでも、自分でやりたいという意欲がでてきた子どもたちに最適の1冊。(小山由絵)
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おでかけのまえに


おでかけのまえに




日曜日、今日はピクニックに行く日。お父さんも、お母さんも、準備で忙しそう。お母さんのお手伝いに、おにぎりをお弁当箱につめてあげよう。お父さんのバッグのチャックを閉めてあげよう。でも、あんまりうまくはいかないみたい。「おてつだいは もう けっこうよ」と、お母さんがいちばんすてきな服を着せてくれたのだけれど、待ちきれないあやこは…。

枕もとにリュックをおいて眠る様子、朝ごはんを食べながらも、目の前のおべんとうが気になって仕方がない様子など、おでかけ前のうきうきした気持ちが、丹念に描かれていく。

そして、お手伝いがことごとく失敗しても、決して深刻にも悲惨にもならず、お父さんもお母さんも怒ったりしない。ぐちゃぐちゃのお弁当を前に得意そうなあやこの姿は、思わず吹き出してしまうようなかわいらしさだ。作者の、子どもへのやさしい目線が随所に感じられる。

『はじめてのおつかい』の名コンビ―作、筒井頼子と絵、林明子による作品。2〜4才向き。(門倉紫麻)
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ぐりとぐらのえんそく


ぐりとぐらのえんそく
なかがわ りえこ



リュックサックをしょって、水筒をさげた“のねずみ”のぐりとぐらは、いくらリュックが重くてもくたばらないぞ、ぐりとぐら。ぐり ぐら ぐり ぐらと、歌いながら野原にいったなら、毛糸に足をとられて転んでしまう。「この毛糸はどこまでつながっているんだろう」と巻いていくと、たどり着いたのはクマさんの家。

カステラが大好きな“のねずみ”のぐりとぐらを描いたシリーズの1冊。保母をしていた作者が「とにかく子どもたちを喜ばせたい」と考えてつくられたお話で、実妹の山脇百合子によるイラストは海外での評価も高い。1979年に福音館書店の月刊誌「こどものとも」に掲載され、1983年に傑作集として出版された。親子二代にわたってファンという方も多いシリーズで、ほかに『ぐりとぐら』、『ぐりとぐらのおきゃくさま』などがある。

ぐりぐら、ぐりぐらと、リズミカルな文章が楽しいこの絵本は、幼稚園や保育園の遠足が待ち遠しい4歳ごろから読み聞かせてあげたい。(小山由絵)
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のせてのせて


のせてのせて
松谷 みよ子



「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズや民話の採集などで知られる松谷みよ子の「あかちゃんの本」シリーズの1冊。1969年の出版以来、赤ちゃんのファーストブックとしてロングセラーを続ける不朽の名作絵本。全9巻からなる同シリーズには、ほかに『いないいないばあ』 『いいおかお』などがある。

「まこちゃんの じどうしゃです はしりますよ ブブー」。すると、ストップ! のせてのせてと、ウサギが手をあげています。ウサギを乗せてびゅーんと走っていると、またストップ! 今度はクマが手をあげています。みんなでブブブーと走っていると、またまたストップ! 今度はだれかな。

繰り返しと擬態語の多い文章は、赤ちゃんの耳にもやさしく響くはず。子どもたちの大好きな自動車と動物たちが、真っ暗なトンネルを抜けて「でた! おひさまだ!」と振り向くページには、赤ちゃんも手をたたいて大喜びするに違いない。その反応の良さに、きっとお母さんもうれしくなる。(小山由絵)
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さる・るるる


さる・るるる
五味 太郎



さるが朝目覚めてから、夜ベッドに入るまでの1日のお話。ページをめくるごとに「る」で終わる2文字の言葉で物語が進む。
「さる・くる」さるがやってくる。りんごの木を「さる・ける」。りんごを「とる」、「うる」。そして竹馬を「える」、けがをしてくすりを「ぬる」。最後はベッドに「ねる」。
全部で14の「る」だけで成り立っているが、2文字以外のお話を親子で考えるのも楽しい。絵は2色刷りでシンプルなもの。筆で描かれたような、にじんだ輪郭があたたかい。  
さるの動作はどれもユーモラスで楽しく、特にりんごを受けとめようとしている一生懸命な表情がいい。2文字のリズムは耳に楽しく、言葉を覚えはじめた0歳児からの幼児向け。言葉遊びのきっかけになり、親子で楽しめる本。(加久田 秀子)
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いないいないばああそび


いないいないばああそび
木村 裕一



まず登場するのは、手で顔をかくしたこいぬのコロちゃん。手の部分が仕掛けとなっていて、「いないいなーい」と手をめくると、「ばあー」と笑顔があらわれる。次は、ことりのピイちゃんのいないいないばあ。ねこのミケもいないいないばあ。かいじゅうさんも、ゆうちゃんも、そして最後はママの番。

『おかあさんといっしょ』ほか、テレビ幼児番組のブレーンなども手がけてきた作者の手にかかると、普遍的な遊びもさらに楽しいものになる。秀逸なのは、最後のママのいないいないばあだ。ママの目の部分には穴があいており、お面のようにして遊ぶことができるのである。絵本の目からのぞく子どもの笑顔は、また格別に違いない。

見開き2ページにわたって大きくかかれたシンプルな絵に、小さな子どもの手でもめくりやすい厚手の紙でつくられたページ。読み聞かせる絵本というよりは、親子が一緒に遊べるオモチャといったほうがふさわしい。赤ちゃんのはじめての絵本として最適の1冊。(小山由絵)
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くつしたをかくせ!


くつしたをかくせ!
乙一



『GOTH』などで知られるミステリー作家の乙一が手がけた初の絵本。透明感のある美しい色合いの絵を担当するのは、「角川スニーカー文庫」の乙一作品の挿絵を担当してきた羽住都。各ページに英訳を併録。

「サンタがくるぞ! くつしたをかくせ!」クリスマスの夜、大人たちはおびえながら子どもにそう言った。雪の降る町で、砂漠の国で、南の海で。子どもたちは決してサンタに見つからないようにと、くつしたを隠した。犬やラクダに見張ってもらった子もいた。握り締めて眠った子もいた。けれど翌朝には、世界中の子どもたちのくつしたにはおくりものが入っていた。「たいへんだ! サンタがきたぞ!」

彼はだれなのか。なぜこんなことができるのか。大人は言う。「サンタだから、それぐらいできるのだよ」。あいまいで、不思議だけれど、子どもたちはサンタの存在をそのまま受け入れるしかない。最後のページで、空を見上げる子どもたちの顔にうかんでいるのは、単なる感謝の気持ちでも、喜びでも、恐怖心でもなく、畏敬の念に近いものだろう。乙は、これまで幾度となく描かれてきたサンタ像をこわすことなく、けれどまったく新しいサンタのとらえ方を本書で提示してみせた。

乙一ファンのお楽しみ、「あとがき」は今回もたっぷりあって、「ガチャピンとムック」を登場させたりと一見はぐらかすようでいながら、さまざまな示唆を与えてくれる深いエッセイとなっている。「プロフィール」にも、にやりとさせられる。(門倉紫麻)
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とらっく とらっく とらっく


とらっく とらっく とらっく




1961年に福音館書店の月刊誌「こどものとも」に取り上げられ、1966年に傑作集として出版された絵本。厚生省中央児童福祉審議会特別推薦図書に選ばれるなど評価も高い。くまくんシリーズなどで知られる渡辺茂男と乗り物絵本の第一人者である山本忠敬が手を組んだこの1冊は、トラックに乗った臨場感にあふれている。

定期便のトラックが港の倉庫を出発して、遠くの大きな街を目指す。高速道路へ出ると、乗用車がトラックの横を追い越し、観光バスが後ろから走ってくる。道路工事の看板を過ぎると、ブルドーザーにパワーショベル、ダンプカー、それからローラーが見えてきた。トラックがスピードをあげると…

街に着くまでにトラックは、さまざまな「はたらくくるま」に出会う。工事現場の車たちに、白バイ、消防自動車、救急車。車が大好きな幼児が、何度も読んでほしいとお母さんのところへ持ってくる、そんな1冊になるにちがいない。(小山由絵)
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はけたよはけたよ


はけたよはけたよ
神沢 利子



たつくんは、ひとりでパンツがはけないんだよ。片足をあげると、どでん!と転んでしまう。「えい、パンツなんかはかないや。」と外へ駆け出したたつくんのお尻を動物たちが笑う。「しっぽのないお尻。あはははは。」
家に帰ったたつくんがもう1回パンツをはこうと、片足あげると、またどでん!
尻もちついたままはいてみたら、あらら、はけちゃった。おかあさんの縫ってくれたズボンもひとりではけたよ。

ちいさな子どもたちにとって自分で洋服を着るのは本当に大変なこと。自分でパンツをはきたいのに、上手にできなくてかんしゃくをおこす、そんな子どもたちの共感をさそう絵本である。「〜よ。」で終わる文体と、のびのびとした線と明るい色調の絵が、やさしく子どもたちを応援する。対象は3、4歳からとなってはいるが、「洋服を自分で着たい」という意欲が出てきた子どもならば、もう十分にこの絵本を楽しむことができるだろう。(小山由絵)
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いやだいやだ


いやだいやだ




なんでもすぐに「いやだ」って言うルルちゃん。それなら「かあさん」もだっこするのを「いやだ」って言うし、おいしいおやつだって悪い子のお口に行くのを「いやだ」って言うよ。おひさまも、保育園にはいて行く靴も、ぬいぐるみのくまちゃんだって「いやだ」って言うよ。

「そうしたら ルルちゃんは どうするの?」。この最後の問い掛けには答えを言わずにお話は終わる。読んでいる子どもたちの心に、自然と答えが浮かぶような見事な構成だ。

手と足を広げ、大きく口をあけて体いっぱいに「いや」を表しているルルちゃん。それに対抗するように、お母さんも眉毛をつりあげこわい顔で「いやだ」と叫んでいる。おやつも靴も、みんな本気でルルちゃんにぶつかっているのがいい。

手でちぎったようなゆがみを生かした貼り絵が、やさしくてちょっと不思議な雰囲気を作っている。1969年発売の人気シリーズ「いやだいやだの絵本」(『にんじん』、 『もじゃもじゃ』、『ねないこだれだ』)の1冊。(門倉紫麻)
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