フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし


フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし
レオ・レオニ



『スイミー』のレオ・レオニと谷川俊太郎(訳)のコンビによる「ちょっと かわった のねずみ」フレデリックのお話。

冬に備えて、せっせと食料を集めて働く野ネズミたち。でも、フレデリックだけはじっとして動こうとしない。寒くて暗い冬の日のために「おひさまのひかり」を、灰色の冬のために「いろ」を、長い冬の間に話が尽きないように「ことば」を集めているんだ、と言うフレデリック。やがて冬が来て、食料も尽きる。だが、フレデリックが集めておいたものは、尽きることなくみんなに楽しい時をもたらしてくれる。

豊かな想像力が生み出す、生きる力。それぞれが自分の役割を果たすということ。ユーモアたっぷりのお話のなかに、大切なことがちりばめられている。「働かざるもの食うべからず」という教訓や「みんなで分け合う精神」を教える、といった単純なお説教話にはなっていないのが、いい。(門倉紫麻)
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おひさまパン


おひさまパン
エリサ クレヴェン



風や雪が吹きすさび、街が淋しい灰色トーンになってしまうと、いつのまにかみんな家の中にこもってしまいます。いぬのパンやさんが、そこで思いついたのが「おひさまパン」をつくること。本当のおひさまが隠れてしまっているならば、せめて家の中だけでも? 大きなまあるい、にっこり笑ったおひさまパンは、眩い光と甘いにおいとあったかい味を街のみんなに放ちました。みんな笑顔。みんな幸せ。隠れたおひさまにもパンをちぎって投げてあげると、今度は街全体をあたためる光を放ちはじめました。動物たちの喜ぶさま、楽しくて踊りだしてしまうさま、Kleven(クレヴェン)の筆もキラキラ弾んだ色を散りばめます。おひさまパンはしあわせパン。裏表紙の作り方をみて、ぜひ自分だけのおひさまパンを生みだして。<注意>このパンを食べたからといって、あなたは飛べません!(か)
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くつくつあるけ


くつくつあるけ
林 明子



白くて、ぽっこり丸い赤ちゃんのくつが、1足。「ぱた ぱた」歩いて、さんぽにおでかけ。「ぱたぱたぱたぱた」と走ったり、つまさきで「とん とん とん」と飛びはねてみたり…。ころんでも、だいじょうぶ。ひとりで起きよう、「ほら できた」。

くつを履いているはずの赤ちゃんの姿は描かれておらず、くつだけが、走ったり飛んだりする、ちょっと不思議な雰囲気。その分、くつが変化する様子がていねいに描かれていく。表紙の、ぱりっとしたくつの黄色いヒモは、ほどけたまま。表紙をめくれば、ヒモは結ばれていて、出発の準備は万端。転んだ後、起き上がろうとするくつにはしわがよって、ゆがみ、赤ちゃんがしっかり力を入れている様子が目にうかぶ。そして、おさんぽを終えたくつは、くたっとやわらかく、お疲れさま、と声をかけたくなる風情だ。歩き始めたばかりの赤ちゃんに、おさんぽの前にも、後にも、読んであげたい。

著者は『はじめてのおつかい』、『こんとあき』の林明子。本書はロングセラー『くつくつあるけのほん』シリーズの1冊。0歳から。(門倉紫麻)
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おにぎり


おにぎり




水をつけ、塩をつけた手のひらに、炊きたてのごはんをのせる。「あつ、あつ。ふっ、ふっ」。何度もおにぎりを握ってきた手が、流れるように動いていく。「ぎゅっ」と握って、梅ぼしを「うめて」、また「ぎゅっ。ぎゅっ」。「くるっ、くるっ、くるっ………」とまわしたら、あっという間に「ほら、できた」。大きなお皿に、まずは1つ。ページをめくると、大きいのが6つと小さいのが3つ、お皿にぎっしり並んでいる。「たくさん できた」。ごはんが全部隠れるくらいたっぷりと海苔をまいて、できあがり。ごはんの湯気にのって、海苔の香りが漂ってきそう。

大好きな人が握ったおにぎりは、特別なごちそう。手の動きだけが描かれるこの絵本を読みながら、それぞれが手の先にいる大好きな誰かの顔を思い浮かべることだろう。最後のページで、小さなお弁当包みを「はい、どうぞ」と手渡されたら、おにぎりを持ってどこかへ出かける、あのわくわくする気持ちがきっとわいてくる。(門倉紫麻)
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ぼちぼちいこか


ぼちぼちいこか
マイク・セイラー



のんびり、おっとりのカバくんがいろんな仕事に挑戦する。「ぼく、消防士になれるやろか。」でも「なれへんかったわ。」「船乗りはどうやろか。」と意気込んでも「どうもこうもあらへん。」「ピアニストになるちからはー ありすぎやったな。」

他にも、パイロットにバレリーナにカウボーイ、サーカスのつなわたりに、飛び込みの選手、果ては宇宙飛行士にまで挑戦するも、あえなく失敗。エアブラシを巧みに使ったカバくんのイラストはユーモアにみちて、重量級のカバくんをとても愛らしいものにみせている。また、邦訳の関西弁がなんとも味わい深く、この世界観を盛り上げる。

「どないしたら ええのんやろ。」と途方にくれたカバくんは、ここらでちょっと一休み。

そんなカバくんの、あくせくしないで、ゆっくり自分をみつめようよというメッセージは、子どもだけでなく大人の心をも癒してくれるはず。「ま、ぼちぼちいこかーということや。」(小山由絵)
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むしたちのうんどうかい


むしたちのうんどうかい
得田 之久



今日は虫たちの運動会。はしりっこ競争では、ミイデラゴミムシのおならがスタートの合図。ダンゴムシは、たまいれのたまになって大活躍。お昼の時間には、チョウチョウやハチたちは、花のみつを吸いにくさむらへ。「オオムラサキさんは花のみつじゃないの?」「ぼくはじゅえきが好きなんだよ」と、木にとまるオオムラサキ。こういった「知らなかったこと」がいくつかのエピソードとして登場し、子どもたちの虫への関心を高めてくれる。

また、折り込みの小さな冊子で虫たちの名前や性質を場面ごとに説明しているので、本と照らし合わせながら親子で確認しあうのも楽しい。著者の言葉の中に、「虫嫌いな子供や虫に関心のない子供たちにも、少しでも虫に親しんでもらえたらという願いをこめて」とあるように、いろいろな虫たちが、それぞれの特性を生かして活躍する様子がわかりやすく描かれている。絵もユーモラスで楽しい。

対象年齢は0歳児から小学校低学年向け。網と虫かごを持って出かける前に読んでみたい絵本。(加久田秀子)
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よるくまクリスマスのまえのよる


よるくまクリスマスのまえのよる
酒井 駒子



「ぼく… ぼくには サンタさん くるかなあ。こないのかもしれないね、だって ぼく わるいこだから。きょう ママに いっぱい しかられたから」
そんな心配をしているぼくと、そんなの大丈夫だよと優しく寄り添ってくれるよるくまとが、一緒にイブの夜を過ごすお話。

著者は着物のデザインなどを手がけた経験ももつフリーのイラストレーター。はっきりとした色でぬりつくされた背景に、優しく愛らしいタッチのイラストが絶妙なバランスで配され、場面場面に思わずひきこまれてしまう。黒い背景には明るい黄色のイラストが映え、あたかもきらきら輝くクリスマスの美しいイルミネーションが目の前に広がっているような気持ちになる。

不安にふるえる小さな心が、優しさに包まれて安らかな心へと変わっていく。聖歌の「Sleep in heavenly peace」という一節を思い起こさせる心温まる絵本である。(石井和人)
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がちゃがちゃどんどん


がちゃがちゃどんどん
元永 定正



カクカクと曲がった小さな棒がたくさん「がちゃ がちゃ」。大きなオレンジのマルが跳ねて「どん どん」。黄色い稲妻「かーん かーん」。緑の線が何かにあたって「ちん ちん」。白いマルが揺れて「りん りん」。どさん。ぽん ぽん。ぐにゃ ぐにゃ。ぼきん。

『ころころころ』、『もこもこもこ』、『もけらもけら』などの絵本を描き、前衛画家としては初めて紫綬褒章を受章したという日本を代表する“モダンアートの鬼才”元永定正による本書は、音が見える絵本である。

ざあー ごー。とん ちん かん。ぶわぁ がちゃん。いろいろな音に合わせて、カラフルで抽象的なイラストが動き出す。最後の「ぷ」に至るまで、小さな子どもたちの笑い声は絶えることがないはず。その姿は、大人には不思議に思えるほどである。

2歳からが対象とされてはいるが、もう少し小さな子どもでも充分楽しむことができるだろう。子どもたちの反応が楽しいアートな1冊。(小山由絵)
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いたずらきかんしゃちゅうちゅう


いたずらきかんしゃちゅうちゅう




『ちいさいおうち』でコールデコット賞を受賞したバージニア・リー・バートンのデビュー作。機関車が好きな長男アリスのために書かれたという本書は、アメリカで1937年に、日本では1961年に出版され、世代を越えて愛されてきたロングセラー。

真っ黒くて、ぴかぴか光っていて、きれいなかわいい機関車ちゅうちゅう。いつも小さな街の小さな駅から、大きな街の大きな駅へ走っていってまた戻ってくる。でもある日、ちゅうちゅうは考えた。もう、あの重い客車なんか引くのはごめんだ。ひとりの方が早く走れるし、みんなの注目も集められる。

機関車の名前のちゅうちゅうは、日本語で言えば「しゅっしゅっぽっぽっ」。子どもたちの反応を見ながら作っていったという絵本は、早く次のページをめくりたくなるようなワクワク感に満ちている。全ページ黒一色で描かれるイラストは躍動感にあふれ、文字もイラストの一部のようにデザインされるなど、まさに絵を読む絵本である。(小山由絵)
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あしたもともだち


あしたもともだち
内田 麟太郎



絵本にっぽん賞を受賞した『さかさまライオン』や小学館児童出版文化賞を受賞した『うそつきのつき』などで知られる内田麟太郎の『ともだちや』シリーズ第3弾。

友だち同士のキツネとオオカミ。「イタチがやきもちをやき、したうちをするくらい、なかよくあそんでいた」2匹なのに、近ごろのオオカミはキツネをさけているみたい。「ぼくのほかにも いいともだちができたの?」
オオカミの後をこっそりつけたキツネがみたのは、怪我をしたクマの看病をするオオカミの姿だった。

本当はとても優しいのに、「お、おれは、やさしいことをしないオオカミだぞ」という思い込みからキツネに内緒でクマの看病をするオオカミの姿がなんともいじらしい。そして、そんなオオカミの気持ちを分かってしまうキツネとの友情は本物だ。自らを「絵詞作家」と称する作者のユーモアに充ちた文章と、動物たちの生き生きとした表情が楽しい本書は、子どもだけでなく大人にも「こんな友だちがほしいな」と思わせる1冊である。(小山由絵)
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